ホーム
最新
山梨
全国・海外
スポーツ
Eye
安心・安全情報
おくやみ・催し・人事
写真・動画
分かる・知る
山梨日日新聞社インフォメーションサイト

過疎地 若い世代に人気

2021年8月20日 9時07分

ラニオン(フランス) オードラン萌

 私の住む地域は海沿いで、スタートアップ企業やIT企業が多く、さらに観光地としても賑わいをみせている。それに比べると、同じ県内でも内陸の地域は非常に閑散としている。「人里離れた場所」と呼ばれ、人家があまり目につかない。郵便局も郵便ポストさえもなく、医療施設はないから何かあった場合、救急車が何時間後かに到着する。売店もなく、遠くへの買い出しもひと苦労だ。
 私の実家は身延町にある。大学時代、友達に「こんな秘境が日本にあるのか!」と驚かれた。今は学校も減り、若い世代は激減し、「過疎地」と呼べる。しかし、少し行けば郵便局はあるし、病院への送迎バスも来る。移動スーパーが来るし、売店も遠くない所にある。田舎に住むフランス人からすると、とても羨ましい状況であることは間違いない。
 一方で、フランスは今、全国的に過疎地が若い世代に人気だ。私の住む県でも、「人里離れた場所」に移住者が急増している。学校も医療施設も何もない場所が、とても魅力的らしい。子育ての環境も、経済の仕組みも、自分たちで作り上げることができる、という可能性に共鳴する人々が多い。コロナの影響も拍車をかけているようだ。従来の枠組みに限界を感じ、未来を模索する動きが見えてくる。
 日本のお盆を想うと、帰省した人々と家族が集う賑やかさが目に浮かぶ。今はコロナ禍で帰省も難しいとは聞くが、あの賑やかさが訪れると一瞬でも田舎は活気づく。遠く離れていることに心苦しくなるのも事実だが、今の私を作り上げてくれた、あの大切な「秘境」が、いつかまた活気に満ちあふれるのを夢見てしまう。(日本語教師、39歳、身延町出身)