「身を粉にして働く」という言葉がふっと頭の中に浮かびしばし停滞した。随分と久しぶりに現れた言葉だ。どうしてかというと、台風五号の気配が山梨にもボチボチ漂い始めた二日間、連続する夏日のもと畑の土は乾き、動かすと土埃舞い上がり風に飛ばされる、霜前蕎麦の種播きのタイミングを待っているのに一向に雨の予報なし。そこに遅速の台風五号が雨を運んでくるという、シメタ。砂漠のごとく水気の無い畑に摩周湖周辺の種子を筋播きする、そして土を薄くかぶせる。文字にすれば簡単な事だが、僕はこれらの作業を休み休みだが六時間余りかけて行う。
ちょっと話はそれるが、僕の農業はすべて借地で展開している。自然な山野に石を...
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