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<1>山に向き合うカラダから

2015年8月21日
2015年の春、 ハルちゃんと泯さん

2015年の春、 ハルちゃんと泯さん

たなか・みんさん 1945年東京生まれ。ダンサー。独自の舞踊スタイルを追求し、78年ルーブル美術館で海外デビュー、国際的に高い評価を獲得する。85年から山梨県内の山村で農業を礎としながら舞踊活動を継続。近年は映像での活動も著しく、NHK連続テレビ小説「まれ」などに出演中。

たなか・みんさん 1945年東京生まれ。ダンサー。独自の舞踊スタイルを追求し、78年ルーブル美術館で海外デビュー、国際的に高い評価を獲得する。85年から山梨県内の山村で農業を礎としながら舞踊活動を継続。近年は映像での活動も著しく、NHK連続テレビ小説「まれ」などに出演中。

 私がこうしてエンピツを動かして原稿用紙に文字を記している、この瞬間に、私は過去から未来へと移動している。一瞬前の事が過去のことだとすると、十分ほどの過去に、二日過去の晴天の日に種子播きしたキャベツの発芽が気になって、まだまだだ、とは分かっているものの、小雨の中ご機嫌よう、と外に出て気分を変えてきた。昨日耕耘した畑は雨に濡れて黒く、その黒の中から千切れた草の緑が鮮やかに点在している、とてもきれいだ。


 世の中では未来未来と念仏のように語られ書かれているが、それは一体いつのこと、いつから未来なの、今ってどういうこと、と聞きたくなるのです。私のエンピツは次々と未来を通過しながら動いている、こんな実感はおかしいのかな。でも、どこかに未来がある、と思うよりは向こうからやってくる未来に「ヨッ!」とか何とか言いながら私の未来を開放した方が余程現実的じゃないか、と思ったりするのです。
 近頃のニュースで流れてくる未来は、驚く程の期限つきの金がらみの逃れることの出来ない未来という巨大な容器のように思えてなりません。私達のリーダーは人間一人一人の集まりを背負って立つべき人なのではと思う。「我が国」などという自己主張をやめて「私達日本人は」と、試しに言ってみてはどうだろうか、勉強のやり直し! 人間としての生き方の過去から未来。膨大な量の失敗と錯誤。何も語らずに死んでいった人々の数、これこそが絶対多数なのです。過去を引き寄せない未来は暴力です。
 エンピツが考えているわけではないけれど、本日から私の過去・現在・未来を混合しながらの原稿を引き受けることになりました。エンピツを使い原稿用紙に書くことに決めました。何だかこの方法が私には相応しい。過去も未来も、現在のこの用紙に集まってくるような気分です。楽しい。エンピツが歩く。


 本年三月、斯く申す私、七十才に成りました。踊りの未来に悩んでいた私、四十才の決断でした。山梨県の白州町(現北杜市)に仲間とともに移住を決め、大地に這いつくばることを決めたのが三十年前の事でした。白州は東が開け残り三方向は山。山に向き合う形での暮らしが三十年前に始まったのでした。踊り人生五十余年の大半を山梨で過ごしていることになる。三十年続けてきた農業も必死に時間を見つけてカラダごと自然の仲間入り学習を繰り返している。先の保証(?)の無い人生だけど、毎日、何かを思い実行することの楽しさは青春だ。
=次回は9月4日の予定です